住宅ローンは変動と固定のどちらを選ぶべきか

変動金利と固定金利の違いを、金利が上がったときに実際いくら増えるかという数字で比較します。5年ルールと125%ルールの落とし穴、繰り上げ返済の2方式、諸費用の内訳まで解説します。

変動と固定は「どちらが得か」では決まらない

住宅ローンの金利には、市場に応じて変わる変動金利と、 借入時の金利が最後まで続く固定金利があります。 変動のほうが金利は低く、固定のほうが高いのが通常です。

この差は、リスクを誰が持つかの差です。 変動は借りる側が金利上昇のリスクを負い、そのぶん金利が安い。 固定は貸す側がリスクを負い、そのぶん金利が高い。 どちらが得かは将来の金利次第なので、事前には決まりません。

決められるのは「上がったときに自分が耐えられるか」だけです。 判断材料になるのは、感想ではなく数字です。

金利が上がると、いくら増えるのか

借入3,000万円・35年・元利均等返済で計算すると、次のようになります。

年利毎月の返済額総返済額0.5%との差
0.5%77,876円3,270.8万円—
1.0%84,686円3,556.8万円+286万円
1.5%91,855円3,857.9万円+587万円
2.0%99,379円4,173.9万円+903万円
3.0%115,455円4,849.1万円+1,578万円

0.5%で借りたつもりが2.0%まで上がると、毎月2万円以上、総額で900万円増えます。 変動を選ぶなら、この状態でも家計が回るかを先に確認しておくべきです。

自分の借入額での金額は、 住宅ローン返済シミュレーターで 金利を変えながら確認できます。

変動金利の「5年ルール」には落とし穴がある

多くの金融機関の変動金利には、借りる側を守るための2つの仕組みがあります。

  • 5年ルール:金利が変わっても、返済額は5年間そのまま
  • 125%ルール:5年後に見直すときも、従来の1.25倍が上限

一見すると安心な仕組みですが、返済額が変わらないだけで、利息は増えています。 金利が上がると、同じ返済額のうち利息の割合が増え、元金が減らなくなります。

さらに金利が上がると、返済額を利息が上回ることがあります。 このとき払いきれなかった利息は未払利息として積み上がり、 最終回にまとめて請求されます。返済額が抑えられている裏で、借金が増えている状態です。

この2つのルールがない金融機関もあります

ネット銀行を中心に、5年ルール・125%ルールを採用していないところがあります。 その場合は金利が上がった月から返済額がすぐ増えます。 急に負担が増える代わりに、未払利息は発生しません。 どちらの方式かは、借りる前に必ず確認してください。

元利均等と元金均等

返済方式にも2種類あります。

元利均等返済元金均等返済
毎月の返済額ずっと一定当初が最も多く、徐々に減る
総返済額多い少ない
当初の負担軽い重い
借入可能額大きくなりやすい小さくなりやすい

3,000万円・35年・1.0%で比べると、元利均等の総返済額が3,556.8万円なのに対し、 元金均等は3,526.3万円です。差は約30万円で、思ったほど大きくありません。 当初の返済額は元金均等のほうが約1.2万円高くなります。

日本の住宅ローンで元利均等が主流なのは、家計の見通しが立てやすいからです。 30万円の差のために当初の負担を重くする必要があるかは、状況次第です。

繰り上げ返済は「早く・期間短縮型」

繰り上げ返済には2つの方式があります。

  • 期間短縮型:返済額はそのままで、返済期間が短くなる
  • 返済額軽減型:期間はそのままで、毎月の返済額が減る

利息の削減額が大きいのは期間短縮型です。 利息は残高に対してかかるので、返済期間そのものを削るほうが効きます。

また、早い時期に行うほど効果が大きくなります。 返済開始直後は残高が大きく、利息の割合も高いためです。 同じ100万円でも、1年目と20年目では削減できる利息が何倍も違います。

ただし、手元の現金を使い切ってしまうのは危険です。 住宅ローンは金利が低く、繰り上げ返済の利回りは金利分にすぎません。 生活防衛資金を確保したうえで、余った分を充てるのが順序です。

借入額以外にかかるお金

住宅購入では、物件価格とは別に諸費用がかかります。 新築で物件価格の3〜7%、中古で6〜10%が目安です。

費目内容
融資事務手数料借入額の2.2%、または定額数万円
保証料一括前払いか金利上乗せ。上乗せは0.2%程度が一般的
登記費用登録免許税と司法書士報酬
火災保険料地震保険を付けるかで大きく変わる
印紙税契約書に貼る。借入額に応じて決まる
不動産取得税購入後しばらくして請求が来る。忘れやすい

金利の低さだけで金融機関を選ぶと、手数料で逆転することがあります。 比較するときは、諸費用を含めた総支払額で並べてください。

借りられる額と返せる額は別

審査では、年収に対する年間返済額の割合(返済負担率)が30〜35%以内かを見られます。 しかしこれは額面年収に対する割合で、手取りではありません。

さらに住宅には、固定資産税、修繕積立金、管理費、火災保険料といった維持費が毎年かかります。 教育費や老後資金も並行して必要です。

無理のない目安は手取り年収の20〜25%以内です。 自分の手取りがいくらかは、 手取り計算ツールで確認できます。

まとめ

  • 変動と固定の差は、金利上昇リスクを誰が負うかの差
  • 変動を選ぶなら、2%まで上がっても耐えられるかを数字で確認する
  • 5年ルールは返済額を抑えるだけ。未払利息に注意
  • 繰り上げ返済は早く・期間短縮型。ただし現金は残す
  • 比較は金利ではなく諸費用込みの総支払額で
  • 借りられる額ではなく、手取りの20〜25%で考える

本記事は一般的な仕組みの解説であり、特定の商品や金融機関を推奨するものではありません。 実際の借入条件は金融機関にご確認ください。

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