読みにくい配色を避けるための色の基礎
薄いグレーの文字が読めない理由を、コントラスト比という数値で説明します。WCAGの基準値、色覚多様性に配慮した設計、HSLで統一感のある配色を組み立てる方法を解説します。
「おしゃれな薄いグレー」が読めない理由
白い背景に薄いグレーの文字。洗練されて見える配色ですが、 多くの人にとって読みにくい配色でもあります。
読みやすさは感覚ではなく、コントラスト比という数値で測れます。 2つの色の明るさの差を比で表したもので、1:1(同じ色)から21:1(白と黒)までの範囲を取ります。
この数値は「見た目の明るさ」ではなく、 人間の目が実際に感じる明るさ(相対輝度)を計算したうえで比を取ります。 人間の目は緑に最も敏感で、青に最も鈍いため、 同じ数値のRGBでも緑のほうが明るく感じられます。計算式にはこの偏りが組み込まれています。
基準となる数値
ウェブアクセシビリティの国際基準(WCAG)では、次の値が求められています。
| レベル | 通常の文字 | 大きな文字(18pt以上、または14pt以上の太字) |
|---|---|---|
| AA(実質的な最低ライン) | 4.5:1 以上 | 3:1 以上 |
| AAA(より高い水準) | 7:1 以上 | 4.5:1 以上 |
大きな文字の基準が緩いのは、文字が太く大きいほど輪郭を認識しやすいためです。 見出しは多少薄くても読めますが、本文には4.5:1を確保してください。
実際の数値の例
| 組み合わせ | コントラスト比 | 判定 |
|---|---|---|
| 白 × 黒 | 21.00:1 | 理論上の最大値 |
| 白 × 中間グレー(#808080) | 3.95:1 | 本文には不足 |
| 白 × 標準的な青(#1F6FEB) | 4.63:1 | AA を満たす |
| 白 × 赤(#FF0000) | 4.00:1 | 大きな文字のみ可 |
| 黒 × 緑(#00FF00) | 15.30:1 | 十分 |
| 黒 × 青(#0000FF) | 2.44:1 | 不足 |
純粋な赤や青が意外と低いことに注意してください。 鮮やかな色は目立ちますが、明るさとしては中間的なので、 白にも黒にも十分なコントラストを持ちません。 目立つことと読みやすいことは別です。
任意の色の数値は、カラーコード変換ツールで 白文字・黒文字それぞれについて確認できます。
色だけで情報を伝えない
コントラスト比と並んで重要なのが、色以外の手がかりを併せて用意することです。
日本人男性の約5%、女性の約0.2%が、特定の色の組み合わせを区別しにくい 色覚特性を持つとされています。20人にひとりという割合は、決して例外ではありません。 最も多いのは赤と緑が似て見えるタイプです。
| 避けたい設計 | 改善案 |
|---|---|
| 必須項目を赤字だけで示す | 「※必須」の文字やマークを添える |
| グラフを色だけで区別する | 線の種類を変える、直接ラベルを置く |
| エラーを赤枠だけで示す | アイコンとエラーメッセージを併記する |
| 「緑のボタンを押してください」 | ボタンの名前で指示する |
| 赤と緑で合否を示す | ○×や文言を添える |
画面をグレースケールにしても意味が伝わるかが、 手軽で確実な確認方法です。スクリーンショットを撮って白黒に変換してみてください。
HSLで配色を組み立てる
色を指定する方法にはHEX、RGB、HSLがありますが、 配色を考えるときはHSLが圧倒的に扱いやすいです。
- H(色相):0〜360の角度。赤が0、緑が120、青が240
- S(彩度):0〜100%。0だとグレー、100で最も鮮やか
- L(明度):0〜100%。0が黒、100が白、50が最も鮮やか
同系色の組を作る
基準の色を決めたら、色相と彩度を固定したまま明度だけを動かします。 たとえばボタンの通常色が明度52%なら、ホバー時は45%、押した状態は38%。 色味がぶれないので、自然にまとまります。
組み合わせる色を選ぶ
| 関係 | 色相のずらし方 | 印象 |
|---|---|---|
| 補色 | +180 | 最も強い対比。強調に使う |
| 類似色 | ±30 | 穏やかで統一感がある |
| 三色配色 | +120 と +240 | バランスが取れて賑やか |
HEXのまま「もう少し暗い青」を探そうとすると、 16進数を勘で動かすことになり、色味がずれます。 HSLなら数値の意味が直感と一致します。
ダークモードは色を反転させるだけでは足りない
明るい配色をそのまま反転させると、不自然に見えることがあります。
- 純黒(#000000)の背景は避ける。 白文字とのコントラストが強すぎて目が疲れます。#14171d 程度の濃いグレーが扱いやすいです
- 暗い背景では彩度を下げる。 鮮やかな色は暗い背景の上でにじんで見えます
- アクセント色は明るめに振り直す。 明るい背景で使っていた濃い青は、暗い背景ではコントラストが足りなくなります
まとめ
- 読みやすさはコントラスト比という数値で測れる
- 本文は4.5:1以上。薄いグレーの文字は避ける
- 鮮やかな色は目立つが、コントラストは高くない
- 色だけに頼らない。白黒にしても伝わるかで確認する
- 配色を組み立てるならHSL。明度だけ動かすと色味がぶれない